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【浦潮日記】ポエジー編 #12ーロシア極東連邦大学ロシア語留学記ー

【浦潮日記】

注記;各項目最後の括弧内の日付は、自分がそのことをメモした日である。

<ポエジー編 #12>
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するする書けない ロシアの鉛筆の芯

 ロシア製の鉛筆を買った。カーボン粒子の品質管理が良くない。紙に書く時、途中でひっかかる。粒子の均一性が悪いのである。(2013.3.12.)

子供のしつけ

 ある時、日本人や外国人学生が良く行くス―パで子供が棚のあいだを走り回る声が聞こえた。変だな、ロシア人の子供はこんなことはしないのにと思い、耳をすますと日本語が聞こえてきた。やはり日本人家族である。困ったものである。恥ずかしい。僕は日本でも、ス―パの洋服売り場や広い棚の間でかくれんぼしたりして走り回る子供は大嫌いである。ましてや、きつく注意して止めさせない親は子供のしつけがなっていないと思う。ロシア人が子供にどういうしつけをしているかはロシアに行く前からの関心事であった。いろんなところで、小さい子供を連れた家族に出会うとついみる癖がある。ある時、海岸通りへ散歩に来ていた家族連れの母親が、路上で立ち止り子供をさとしている。祖母らしき年配の女性は静かに傍に立っており、叱られている子供は真剣に母親のいう事を聞いている。ロシア風子供のしつけ方の一場面を見た思いであった。僕には気持良かった。(2013.2.3.)

あまりにも短い 電球寿命

 寮の部屋は古いので、電球はほとんど白熱電球である。それが、また短命で頻繁に切れるのである。平均寿命は3カ月ぐらいだと思われる。部屋の中央、風呂、トイレ、ベッドなどに合計6個ぐらいの電球があるので、しょっちゅう変えているように感じられる。 (2013.3.12.)

大学構内で 目につかない 学生運動

 滞在していた極東連邦大学では、学生運動などの学生の自主的な活動はほとんど目にすることがなかった。ビラやポスターも貼って無い。部活、クラブ活動、同好会、学園祭などがあるのだろうか。オープンカレッジや「学生の日」(休日ではない)なんかも覗いてみたが、みんな大学当局主催である。当然、学生も多く参加していたが、常に授業の一環という感じで、大学当局主導である。そもそもロシアの大学で学生運動なるものが存在するのかどうかは知らない。「学問の自由」「大学の自治」の中で育った我々日本の団塊の世代にとってはさびしいかぎりであり、ロシアの学生は少し気の毒な気がする。オリジナリティーのある、すばらしい芸術家やノーベル賞研究者、世界的発明をする技術者などが育つのだろうか。日本の現在の学生生活も詳しく知らないので、これ以上えらそうなことは言えない。ロシア人からみれば大きなお世話かもしれない。(2013.3.12.)

オープン・キャンパス 

2008年にウラジオに下見に来た時から、大学の理工学部の研究室を見学したいと思っていた。たまたま大学主催の「科学の祭典」のポスターでオープン・キャンパスがあるということを知った。早速訪れてみた。入口にいた主催者らしき人に「研究室を見学したい」というと快諾してくれた。入口で待っていると英語ができる女子学生がやって来て案内してくれるという。途中からは教官らしき中年の男性も加わり、いろいろ説明してくれた。日本の島津製作所のガスクロや科学機器もたくさんあった。結構高価な分析装置もあった。中年男性に聞くと、今はそれなりの国家予算が付くという。政府がこの大学に力を入れてくれているのだという。見たところ高価な装置はすべて日本やドイツなどの外国製であった。2002年にモスクワの自動車・道路大学で一ケ月間ロシア語を勉強した時、化学を教えている先生の実験器具があまりにもひどいのにびっくりした記憶がある。試験管や試薬が整理・整頓されず乱雑に放置され、ホコリがかぶっているのである。要は使われていないのである。金がないのか、先生がいい加減なのか良くわからない。これで化学の先生が勤まるのだから、変な国だなとその時思った。大学の性格が違うから単純な比較はできないが、それからみれば現在の極東連邦大学は大変良い。また多くの高校生や中学生も実験室を訪問していた。母親や祖母と一緒に来ている高校生や中学生もいた。この時応対するのが最高学年の大学生達である。僕は大学生や見学に来ていた高校生にもいろいろ質問してみた。ところでロシアでは理系女子が昔から多い。この時も大勢の女子高生や女子学生がいた。ひょっとすると男性より女性の方が多いかなと思うほどであった。理学部数学科の授業も覗いたが女性の比率は全体の半分ぐらいであった。今の日本の理学部数学科の女子学生の比率はどれくらいなのか全く知らないが、僕の予想では一割にも満たないのではないかと思う。この日実験室を案内してくれた女子学生も、僕と同じ大学構内の寮に住んでいるというので雑談しながら帰った。卒業するとまあまあ良いところに就職できるという。また自分は成績優秀だからこの寮に住むことができると言っていた。(2012.11.12.)

政治集会

 ソ連崩壊後、ロシアでは共産党の一党独裁から複数政党制に移行した。いろいろ選挙での不正などのうわさが絶えないけれど、一応活発な選挙で大統領や国会議員が選ばれるようになった。そこでロシアでは街頭での政治集会があるかなといつも関心をもってみていた。街でビラやポスターは全くみられなかった。労働組合がどうなっているのかもわからない。テレビでも労働組合の話は観たことがない。政党の代表がテレビでインタビューに答えているのは日本でロシアのテレビ・ニュースを観るのと同じである。それでも数回街頭での集会をみた。街中心部にある劇場前公園で、ロシア共産党がロシアの子供をアメリカに里親に出すのに反対する署名を集めていた。また同じくロシア共産党がロシア革命記念日か何かの日に赤い旗をなびかせて大勢行進しているのを見た。その他の政党や団体の街頭での活動は目にしなかった。(2013.3.20.)

おばさんが 日本人残留孤児の子供だという 中国人クラスメート

 リーザという、いつもスマートフォンで音楽を聴いているクラスメートの中国人女子学生に「スバルという谷村信司の歌を知っているか」と尋ねた時、彼女のおばさんの母親が日本人残留孤児だということがわかった。この日本人残留孤児は、2010年に75才で亡くなったが、日本政府から年金をもらっていたという。この残留孤児の娘がリーザの母親の兄と結婚したのだという。この残留孤児の娘夫婦は現在、神奈川県に住んでいるという。なお、リーザはロシアとの国境に近い吉林省出身で、ここでは岐阜県からの満蒙開拓団が多くいたという。戦争の傷跡は消えていない。(2013.3.12.)

あの広い中国で地方時刻が無い 全国すべて北京時刻 

 これもウラジオで初めて知ったことだが、中国ではローカル時刻というものがなく、あの広い中国全土が北京時刻ひとつで動いているという。これで不便を感じないのか不思議である。中央集権の最たるものである。(2013.3.12.)

自炊率ランキング、1位:中国人、2位:韓国人、日本人、3位:欧米人

 寮生の食事は食堂を利用するか、共同の炊事場があるので、そこで自炊するかである。一番、しっかり自分で食事を作るのは中国人である。鳥の丸焼きなんかも、いちから作っているし、ダシも鶏ガラから取ったりしている。だから中国人がグループで料理を始めると、電気コンロが占領されてしまう。これは15台ぐらいある電気コンロのうち、半分ぐらいが壊れたままで使えないことにもよる。余談だが、壊れてもひどい苦情も来ず、生活出来れば直さないのもロシア風らしい。次は韓国人と日本人である。欧米人はあまり食にこだわらないのか、家庭で旨いものを食ってないのか、食堂や外食が多い。たまに炊事場でつくっているものをみると、ロシアの冷凍ピロシキを温めているだけである。これでは食文化は育たない。(2012.2.3.)

マイナス20℃の山を越えたと思ったら もう一山 暖房無し お湯無しのキャンプ生活 

4月29日に部屋の暖房が止まり、5月13日にはお湯も止まった。外気温は3℃~7℃。寒くて不便。ポットでお湯を沸かし、それをたらいに入れて身体を洗う。7月末に帰国する迄に、何回かお湯が出るようになるといううわさが流れたが結局出なかった。先生に聞いたところ、ロシア語で「テツ」ТЭЦ(тепловая электроцентраль)と呼ばれる、熱電コージェネ設備が点検の季節に入ったのだという。教室の窓からも、冬はいつもこの設備の煙突から白い煙が出ていたが、今は止まったままである。町中にこの暖房設備の配管が張り巡らされているが、冬期間中、ところどころから蒸気が噴き出しているのを何回も見た。全くエネルギーの無駄である。一滴の工業用水やわずかのエアー洩れも見逃さないというトヨタ式設備管理方式で育った人間からは考えられない。「日本人の僕には耐えられない」と先生に苦情を言うと「20~30年前は冬にお湯が出ないこともあった。これはあなたにとって良い経験だから我慢しなさい」と逆に説教された。(2013.5.18.)

アイスクリーム 電子天秤で計り売り

 すべてにアバウトなロシア人がアイスクリームだけは、必ず電子天秤で、きっちりグラム単位で重さを計って売っているのには正直驚いた。これは値段がすべてグラム表示のロシアだからと思うが、正直ピンとこない。変なところで手間をかける。それともきっちり計り売りしないと「自分のは少ない」と文句をいうロシア人がいるのだろうか。(2013.6.3.)

えこひいき

 子供の時からオリンピックなどの体操競技を見ていて、ロシアの審判は自国の選手に甘すぎるなという感じを抱いていた。素人の僕が見ていても、あまりうまく無い選手なのにロシア人審判は自国の選手には良い点数をつける。えこひいきがひどすぎるのである。誰でも多少なりとも身内に甘くなるのは、人間として致し方ない側面もあるが、あまりにも見え見えであった。審査員の役割と職務を果たしていないのである。自分の国の選手に良い点数をつけないと、後で帰国した時に叱られるのだろうか。万事、自分に甘いお国柄かなと小さい時から思っていた。だから体操競技の点数の付け方は、いろんな国の審査員の付けた点数のうち最高点と最低点を除外し、残った点数の平均点で順位を争っていた。ボクシングなどは戦う選手の出身とは関係ない中立国出身のジャッジ三人で判定している。この身内に甘い評価をするロシア人の体質は、大学入学後、ロシア関係の本や論文を読むようになってからもあちこちで目についた。典型的な例は高校の化学の教科書の裏などに必ず載っている「元素の周期律表」である。日本や欧米では「元素の周期律表」と呼ばれているこの表は、大勢の歴史上有名な科学者の発見の積み重ねで現在の形に完成されたものである。まさに人類の知識が凝縮されている宝なのである。この表はロシアでは「メンデレ―フの化学元素周期表」と呼ばれていて、もちろん日本と同じように、高校の化学教科書の裏表紙に必ず載っているし、本屋では立派なポスターも売っている。僕も一枚買った。メンデレ―フは大変優れたロシアの化学者で、元素の周期性の発見に重要な役割をはたした。しかしロシア以外の多くの科学者もこの周期律表の発展と完成に貢献したことは科学史上の常識となっている。だから僕が初めてこのロシア語の呼称を知った時も、客観性に欠けているなという思いがした。このような傾向は、歴史的に形成された国民的体質なのかはっきり断定できないが、共産党の一党独裁とスターリン弾圧下で自由な学術研究ができなかったことや、外国との交流に制限があった鉄のカーテンの影響も当然あると思う。今でもコネやえこひいきが相当巾をきかせているロシア社会である。しかし最近は、このようなえこひいきによる不正を防止する努力はロシアでも当然なされている。極東連邦大学では大学入学のために必要なロシア語国家検定試験が行われており、その事務局も我々留学生が学んでいた建物内にあった。この試験は出来るだけ公平性を保つため、各先生方は自分のクラスの生徒の口頭試問の試験官にはならないよう配慮されていた。また筆記テストは学生の名前は伏せて採点され、答案をチェックする人と採点する人は別の試験官になっていたようであった。丁度、僕のウラジオ滞在中にロシアの法律が変わり、たとえ旧ソ連の国からの者でも単純労働者の場合は一定のロシア語レベルがないとロシア国内で働けないようになった。そのため、多くのタジキスタンなど旧ソ連圏からの人が試験書類提出のため、事務局前で心配そうな表情で並んでいた。(2013.3.2.)

あまりの綺麗さに 捨てるのがもったいない チョコ包装紙

 チョコレートに対する、ロシア人の思い入れの強さはその包装紙にも表れている。金・銀・赤・青・黄色の質の良い紙で、デザインもきちんとしている。一方、今は少し良くなったけど、本、ノート、トイレット・ペーパーなどの紙質は全く良くない。僕はチョコレートが好きでよく食べた。そしてチョコレートの包装紙は捨てるのが、もったいないので市場で買ってきた花の植木鉢の周りに貼り付け寮の部屋に飾った。また姉が新聞で切り紙細工をやっているというので、日本へのお土産にもした。(2013.6.3.)

チョコ包装紙を貼り付けてつくった植木鉢

浦潮の 本願寺跡や 風薫る

 大学のすぐ横に旧本願寺跡記念碑がある。冬は緑がなく殺風景だったが今は木々の緑が茂っている。ロシア革命前は6千人の日本人がウラジオに住んでいたという。ここで集まって、会話を楽しむ人の声が聞こえてくる。なおこのすぐ近くには、やはり革命後破壊され、その後再建された有名なロシア正教寺院がある。大きな公園の中にあり、大変立派である。(2013.6.15.)

旧本願寺跡

街のあちこちが コンサートホールの ウラジオストック

 ヨーロッパの他の街と同じように、ここウラジオストックでも多くのストリート・ミュージシャンが活動している。何かフェスティバルがあると、公園などで太平洋艦隊音楽隊までが無料で演奏していることもある。日本でもこのようなことはやっても良いと思う。そうすると劇場でその人たちが本格演奏する時に聞きに来てくれることもあると思う。実際、僕はロシア正教会内の広場でたまたまやっていた太平洋艦隊音楽隊の演奏に聴き惚れて、その後劇場での演奏に足を運んだ。また授業中に半分冗談で、日本の大学のオーケストラ部で楽器を吹いていた日本人学生に「俺らも街頭で音楽をやるか。僕は帽子を持ってカンパを貰う役をするよ」と言ったら先生が、即座に「マフィアにショバ代を払わないといけないよ。私はマフィアにつてがある人物を知っている」といわれてびっくり(2013.6.29.)

 

ポエジー編 #12に続く

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