はじめに
人に人生あり、土地に歴史あり
これは年金暮らしの越中屋弥左衛門が天気の良い日に、あちこちの関心のある場所を気ままに訪ねた時の旅行記である。「特別の計画を立てない」、「日帰り」、「車を使わない」という三原則があるだけである。日帰りとなると、愛知県の三河に住んでいるので行く場所も限られる。しかし、この三原則もしばしば、破られることがある。それは弥左衛門が実家のある越中に帰省した時などである。たった三つの原則さえ守らないし、ましてや朝起きて天気が悪かったら、即中止となる。それくらい、いいかげんなブラブラ旅だということを御理解頂きたい。
刈谷城
刈谷城は家康の母、「於大の方」が岡崎城に嫁いだ後、離縁されて住んでいた城である。
於大の方は川を挟んだ向こう岸の尾張知多半島の東浦町で生まれ、岡崎城で家康を生んだ後、今川方との関係で離縁され、一時ここ刈谷城で暮らしている。その後、阿久比町の城主に再嫁している。戦国武将の娘は政略結婚が当たり前である。
しかし、家康との親子の情は強かったとみえ、於大の方は死ぬまで家康と親密に連絡を取り合っている。三河には家康と於大の方とのエピソードがあちこちにある。
この刈谷城跡には江戸時代の建物は全く残っておらず、少しの石垣と庭園が残っているだけである。この庭園一帯は亀城公園と呼ばれ、刈谷市では一番古い公園である。
越中屋弥左衛門が、刈谷の会社に就職した45年ぐらい前までは、刈谷で公園と言えばここだけだった。公園の回りには体育館、野球場、歴史博物館などがある。
弥左衛門は車でここへ良く散歩に来る。
公園の池の淵に立つ記念碑である。ここは二の丸跡だったという。いずれにしても岡崎城と比べると小さな城といえる。城というより、館(やかた)の大きくしたものという感じである。しかし、三河と尾張の境界にあって、戦略上は大変重要な城であった。木に隠れて見えないが、すぐ左には豊田佐吉の銅像がある。
本丸跡近くの銘板に記された刈谷城の説明である。例によって城の建物は明治新政府によって破壊されている。この旧城跡の売却先となった大野一族は刈谷市の名門で「トヨタ生産方式」の生みの親・大野耐一氏(トヨタ自動車工業元副社長)もその一人である。
城跡の一番高いところに建つ十(じゅっ)朋亭(ぽうてい)と呼ばれる集会所である。お茶会なども開かれる品のある建物である。刈谷士族会の会館として建てられたという。
十朋亭のすぐ横にある説明板である。
十朋亭から数十メートル離れたところにある高台である。ここに昔の天守閣を再建しようという計画がすすんでいる。西尾市でも城跡の整備がすすんでいて、やはり城を再建する計画がある。日本人はやはり、お城が好きなようである。そんなに好きなら明治になっても壊さなければよかったのにと思うが、それは我々、平和な世の中に住む現代人の考えであろうか。
こんな立派な城が完成するらしい。刈谷も西尾もトヨタ系企業の繁栄のおかげで財政が豊かなので、このようなことができるのだろう。
「刈谷城跡」という石碑と並んで建つトヨタグループの祖・豊田佐吉翁の銅像である。
公園内部の散策路である。4月初旬できれいな桜が満開であった。しかし、今年は例によってコロナで「桜まつり」は中止となった。
十朋亭の下の土台石である。この上に三層の櫓(やぐら)があったという。
5月初旬の庭園風景である。桜が終わって、さつきの季節がはじまっている。池と緑がきれいな季節となった。
十朋亭近くの陸橋である。ここをくぐると公園の外に出て、三河と尾張の境を流れる川の眺めを楽しむことができる。
池とメガネ橋、赤い欄干、桜、木々の緑のバランスがきれいである。この池は、つい最近水を完全に抜き、清掃がなされた。水を抜く前は、外来種のカメが多数見られたことを記憶している。背景の立派な近代的ビルは豊田自動織機の電算センターだという。
公園の隣を流れる川は、現在非常に大きな河川工事が行なわれている。このあたりは境川(さかいがわ)(尾張と三河の境界を流れる川)と逢妻(あいづま)川(がわ)(豊田、知立、刈谷の三市を通過して流れる川)の合流地点で川幅が大きくなって、三河湾へ注ぎ込む。川を渡れば、向こうは知多半島の東浦町で、於大の方が生まれた緒川城があった。於大の方の父は緒川と刈谷に領地を持っていた。信長はこの東浦に築かれた今川方の館を攻撃し、徹底的に破壊している。
一年前にオープンした刈谷市博物館である。今まで刈谷に博物館は無く、やっと出来たという感じである。その分、立派なものである。もちろん城関係の展示もなされている。しかし、ここもコロナで5月一杯まで閉館となっている。
博物館の全景である。この建物の後ろに広大な無料駐車場がある。博物館ができる以前は野球場などもあるにもかかわらず、駐車場が狭くて困ったが、今はまったくそんな心配はいらない。(記2020年5月3日)
刈谷城MAP/近隣宿泊
刈谷城MAP
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